2007年02月10日
北八) 北横岳 (2,480m
      写真はスライドショーでご覧下さい


 今年は暖冬のためどこも積雪が少なく、1月に行った蛭ケ岳、三ツ峠も期待外れで、なかなか美しい冬景色には巡り会えませんでした。 
・・と、言うことで、今シーズン中になんとか一度と思い、何時ものように実家に帰る途中、標高が高い北八ヶ岳の北横岳(2480m)まで行ってきました。
前日の山小屋情報では、”最近全く雪が降らないため木に樹氷は付いていないが、一月に降った雪が例年並みに残っていて、それなりに綺麗です・・”とのこと。 樹氷は諦めていたのですが、前日の夜から寒気が流れ込み、標高1800m以上では大荒れになりました。登山も状況によっては諦めるつもりでしたが、運よく天気が持ち直し、見事な冬景色を堪能できました。


【コースデーター】
 途中写真撮影などの休憩時間が多いので・・・参考程度に
 


到着/出発 標 高
ロープウェイ駅 10:40/11:00 2233m
坪庭 11:25 -
北横岳ヒュッテ 12:05/13:00 2370m
南峰〜北峰山頂 13:30/14:10 2480m
ロープウェイ駅 15:15 2233m


ビラタス蓼科ケーブル駅
8:00 家を出て、中央道でビラタス蓼科を目指す。
 天気は快晴、高速道路から見える奥多摩の山々は、暖冬のため全く雪が見えず春のような雰囲気を見せている。 
御坂トンネルを抜け甲府盆地に入ると、正面に南アルプスが見えてくる。白根三山の峰は雪に覆われ薄い雲に包まれているが、下半分には雪が付いておらず今年の積雪の少なさが伺われる  小淵沢で高速を下り一般道で蓼科に向かう。標高1000mを越えるあたりでも、まだ道路沿いには全く雪が見えない。山麓から見えるはずの北八ヶ岳周辺の山々は雲にスッポリと包まれている。
 
10:10 ビラタス蓼科に到着
 駐車場から見上げると、山はガスに包まれて真っ白、まだ雪が強く降っているようだ。 途中に見える針葉樹林は、昨夜降った雪と霧氷が凍り付いて見事な樹氷ができているようだ。

吹雪の坪庭
10:40 スキー客に混じってケーブルに乗り込む 
 ケーブルの高度が上がるにつれて山の様相が厳しくなってきた。 トウヒなどの針葉樹には強い風と冷え込みにより見事な「エビ根」ができている。 風も強くなってきて横殴りの雪がゴンドラを揺すぶる。 15分ほどで標高2233mの山頂駅に到着。 外は視界が10mほどの猛吹雪だ。ケーブル駅の中の床まで完全に凍結している。・・・この状態では無理しないほうがいいかなと思いつつ、駅の中でしっかり装備をする。 しばらくすると外が少し明るさを増してきた。・・暫く我慢をすれば天気は何とかなりそうな雰囲気だ。
 坪庭に向かって歩き始めるが、ガスと飛雪でトレースが見えない。途中の標識も氷で覆われていて、うっかりすると見落としてしまいそうだ。 一段高いところまで出ると雪が弱まり見通しが利くようになってきた。 全くトレースのない広大な雪原に、樹氷が点在し素晴らしい景観である。 撮影しながら坪庭の雪原をを30分ほど歩くと、北横岳のとっつけに着いた。この頃になると青空も時折覗き陽が差し込むようになり、天気の回復は間違いない。 

吹雪が止み、登って来る登山者
 ここから登山らしい登りが始まる。
登山道は新雪でアイゼンの利きが悪く歩きにくい。 少し登ったところに坪庭を一望できる場所があった。ガスの切れ間から時折差し込む日差しが、雪原の輝かせて素晴らしい景観を見せている。 
 三脚を取り出して本格的に撮影していると、数組の登山者が平原を渡ってくるのが見える。 
 先ほどの登りで追い越してきたスノーシューの親子も頑張って追いついてきた。 陽が差し始め周囲の景色が見えたからか、小学生のボクも元気が出てきたようだ。

・・・後ろから見守っているお父さんの優しい目がとても印象的だった。
 
12:00 北横岳ヒュッテ到着

 樹氷の景色を楽しみながら暫く登っていくと、北横岳ヒュッテが見えてくる。
ヒュッテの周囲は見事な樹氷に覆われた針葉樹林帯で、強くなってきたばかりの日差しに輝いていて美しい。 
 この素晴らしい景色を見ながら・・と、外で昼食にする。
掛川から来たというグループの隣に陣取り、一時間ほど休憩してしまった。
   
時折、雲の切れ間から目的の北横岳山頂が顔をだす。山頂からなだらかに続く稜線の樹氷が奇麗だ。写真を撮りながら付近をうろついていると、数回深い雪に潜り込んでしまった。この辺りの吹き溜まりでは2m程の積雪があり、一回嵌るとそこから這い上がるのは大変である。
13:00 山頂目指して出発 

 北横岳ヒュッテからは急な登りが始まる。 長い急坂は新雪で踏み後を辿っても柔らかくて苦労するのに、その急坂を尻セードで「キャー・々」言いながらオバサン達が滑り降りて来た!  慌てて脇に避けてやり過ごしたが、おかげで股まで埋まってしまい脱出するのが大変だった!!。 前を登っていた人が中々進まないため追い越ていくと”あいつらのおかげで、本当に苦労するよ”・・とブツブツ言っている。
 確かに前に出てみると、踏み後が尻セードで滑り台のようになってしまっていて、登るには高齢者の方には大変そうな状況である。 帰りに気がついたのだが、坂の下に「尻制動禁止!」という看板があった。
 楽しそうだし、つい皆やってしまうんだろうな・・・

北横岳南峰から八ヶ岳方面
13:30 南峰

 息を切らせながら登っていくと、周りが開け展望が利いてきた。
斑になってきた樹氷も更に引き締まり、青空の色を反射し奇麗だ。
樹林を抜け急坂を登りきると、そこが南峰である。振り返ると、南八ヶ岳方面の峰が顔を出しはじめている。 左手には近くの三ツ岳の峰が暗雲をバックに真っ白に輝く。 前方には、北峰と蓼科山から遥か向こうに霧が峰・車山が望める。

 写真を撮影し一息いれてから北峰に向かう
北峰は稜線を僅かに下ってから上り返したところだ。既に数人の登山者が見える。


北峰山頂
13:40 北峰到着

稜線を下っていくと、目の前に蓼科山がお椀を伏せたような独特の姿を見せている。
奇麗な樹氷を写真に収めながら暫く登ると北峰に到着する。 ここからは蓼科山〜北西から北東方面の展望が開ける。北東方面を良く見ると、野辺山の天体観測所らしきドームまで見えている。

先行のグループが皆で万歳をしている。私もそうだが・・天気に恵まれ、この奇麗な雪景色にめぐり合えて、気分は最高なんだろうな〜。


北峰からの蓼科山
 正面には蓼科山が、刻々と変わっていく日差しとともに、美しく輝いていた。
少し気合を入れて、30分ほど写真を撮ったが動かないでいると、寒さのためニ重の手袋をした指先の感覚が麻痺してくる。

14:10 下山
 素晴らしい気色に名残惜しいが、展望をゆっくり味わって充分満足したところで下山にかかる。 来たルートを折り返し、南峰からヒュッテへの急坂を滑るようにして下る。 アイゼンを着けていても雪が軽いため結構スノーシューのように滑ってしまい、子供に帰ったように楽しんでしまいました・・お恥ずかしい!
 途中で数人の後続者と擦れ違ったが、やはり皆この新雪の急坂で苦労しているようだった。 中には木の枝をストック代わりに着いて、苦しそうに喘いでいる人もいたりして・・少し気の毒になっってしまった。

坪庭全景
 太陽が西に傾き始め、樹氷と雪原が素晴らしい表情を見せ始めた。もう一時間ほどすると撮影には絶好のチャンスが訪れそうな雰囲気である。
 よし!、今日は久々に気合を入れて撮影していくぞ!・・・。
 
北横岳ヒュッテを過ぎ三ツ岳への分岐からは、正面に白銀に輝く三ツ岳が暗雲をバックに見事なコントラストを見せてくれた。 また、坪庭の雪原も斜光で樹氷の影が尾を引き始めていて、またとないチャンスを物にすることができた。

15:15 ロープウェイ山頂駅到着
 すぐ来たケーブルに乗り込み下山する。客が少なかったのでガイドのオネエサンも、専属のガイドのように親切に案内してくれて、チョット得した気分になった

 今回は、写真撮影に関しては大満足の山行だった。